今回は2025年までのドル円の見通しをお話していきたいと思います。
結論からいうと、2025年までにドル円は90円台まで下落する可能性が非常に高いです。
90円という水準はちょうどリーマンショック直後の2008年で、約10年前となります。
一体ドル円市場で今後なにが起こるのでしょうか?
順を追って説明していきたいと思います。
目次
2015年から下落し続けるドル円
まずはドル円の下落の意味を考えていきましょう。
すでにドル円の下落がなにを意味するかといったことを理解されている方は読み飛ばして構いません。
ドル円の下落はドルが売られ円が買われるということ
ドル円の下落とはドルが売られて、円が買われるということを意味します。
つまりドル円が下落するということは、ドルの円に対する価値が下落し、逆に円のドルに対する価値が上昇していることを表します。
直近のドル円は2015年に125円をつけ、そこから下落トレンドが続いています。
ドル円の下落トレンドが続いている理由
ドル円の下落トレンドが続いている理由は、ズバリ米国による政策金利の引き下げです。
米国はリーマンショック後、景気回復に伴い政策金利を引き上げてきましたが、米中貿易摩擦や米国経済指標の悪化を受け段階的に政策金利を引き下げています。
景気の先行きの不透明感からFRBは政策金利を引き下げていますが、トランプ大統領もFRBに対して利下げ圧力をかけていますので、この影響も大きいと思います。
金利が下がるとその国の通貨の価値は下落しますので、米国金利の低下に伴いドルが売られドル円が下落しているということになります。
【関連記事】政策金利が変わると為替レートにも影響する!?中央銀行が政策金利を引き上げるのはなぜ?
実際に米国債10年利回り(金利)とドル円のチャートを見ても、相関が高いのが分かるかと思います。
参照:Bloomberg
つまり、米国金利の動きでドル円市場は動いているといえるわけです。
金利が下がれば、ドル安になります。ドル安になると米国企業の製品が海外に売りやすくなり企業業績が上がることになるので、米国としてもなんとかドル安へと為替をもっていきたいというわけですね。
ドル円が2025年までに90円台まで下落する2つの理由
冒頭でも述べたとおり、ドル円の為替市場は2025年までに90円台まで下落する可能性が高いです。
その理由としては2つあります。
①米国は利下げを継続
まず1つ目が米国の政策金利の続行です。
FRBは政策金利を引き下げる方針を示しており、トランプ大統領自身もFRBに利下げするよう圧力をかけていく姿勢が明確になっています。
加えて米国の経済指標の悪化が続いているため、FRBは利下げを継続しなければいけない状況にまで追い込まれています。
2019年10月に発表されたISM米製造業指数は10年ぶりの低水準にまで悪化しています。
この流れから、今後もFRBによる政策金利の引き下げが想定されます。
米国の金利が引き下がり、日本でも金利が下がればドル円市場に影響はないといえます。
しかし日本はすでにマイナス金利を実施しており、これ以上金利を引き下げる余地がないのです。
そうなると日米金利差は徐々に縮小してくることから、ドル円市場はじわじわと円高ドル安方向へと進むと考えられます。
②世界景気の下振れ
2つ目の要因が世界景気の下振れ懸念です。
米中貿易摩擦や、イギリスのEU離脱問題、経済指標の悪化などからも分かるように近い内に必ず市場が暴落するタイミングが来ます。
そもそも景気というのは山と谷があるものなので、それは当然のことなのですが、そのようにリスクが高まった局面においてドル円は売られる傾向にあるのです。
つまりドルが売られて円が買われるという流れが起こるということですね。
新聞やニュースなどではこの流れを「リスク回避のドル売り、円買い」などと表現することが多いです。
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長く続いた好景気が終わるタイミングは少なく見積もってもあと数年で終わるので、景気後退期に入った場合、ドル円はリーマンショック後のレベルの90円台まで下落するでしょう。
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